更新:2026.7.28
今日は自衛隊パイロットが転職を考えるに当たって、絶対知っておかないといけないことについてお話ししていきます。
今転職を考えている自衛隊パイロットさんはある程度聞いたことがあるかも知れませんが、私が今働いている某航空会社で知った事実もお話ししますので、自衛隊を退職する前に読んでおいてもらいたいです。
そしてこれから自衛隊パイロットを目指すそこのあなた!!
9月といえば航空学生の受験が開始する月ですが、入隊する前に必ず知っておいて頂きたいことを今日お話しします。
どうか皆さんが将来自衛隊パイロットを退職して、民間パイロットに転職しようと考えた時に、困らないようにしてもらえたらと思います。
自衛隊パイロットの転職について語っていく前に
航空業界には”2030年問題”っていう言葉があります。
↓の国土交通省航空局発行の「数字で見る航空(2023)」にも載ってますが、パイロットの数って意外と少ないんですよね。ちなみにこの本、いろんな統計が載ってて結構面白いのでおすすめです。
これから操縦教育証明を受けようとしている方には、パイロット以外の航空従事者ってどれぐらいいるのかっていうのも載っているので一読いただいたら口述試験の役に立ちます!
リンクも貼っておきますね。


この本の数字とは若干異なっていますが、今現在は
民間パイロットが約8,000人、官公庁パイロットを合わせると約10,000にんぐらいしかしないみたいです。
で、過去の航空局の資料を見ると、

これって、平成25年の資料ですが、赤枠で囲まれた部分(所謂、団塊世代ってやつで大体機長の年代)を15~20年後ろに移動させると、なんと一気に人数が減るではないですか!!2030以降やばくね!?
っていう、問題です。
あ、ちなみに民間航空会社のパイロットの人数の話ですね。
民間機はみなさんご承知の通り、1人で飛ばすことってできないんですよね。
安全上もそうですし、ほとんどのジェット機は大体2人乗りって航空局の通達でも決められています。

イメージ
じゃ、2026年の今って熱いじゃん!!と思った、転職を考えているそこの自衛官!!
そしてこれから自衛隊パイロットを目指そうとしている諸君(将来転職を考えている方)
あ、ちなみに、これからパイロットを目指そうとしている諸君は、一旦、「THE PILOT」を読んでいただいた方が絶対良い。まずはどんな選択肢(パイロットになる方法)があるかを徹底的に勉強しよう!!
↓にAmazonリンクを貼っています。

話は飛びましたが、自衛隊は簡単に転職させてくれません。
あ、退職は多少の慰留がありますが、大体簡単に退職できます。
退職した後、簡単に民間のパイロットにはさせてくれないってことです。
その訳をお話ししていきます。
割愛制度
自衛官パイロットの転職事情には、この割愛制度っていうやつが大きく関わっています。
ので、話は遠回りになりますが。この「割愛制度」について見ていきましょう。
今は昔、日本の民間航空はGHQによってすべて禁止にされていました。
それが再開されたのは1952年
再会直後は日本人パイロットがほぼいなくなっていたので、外国人パイロットで日本国内を飛んでいました。
そのような中で、日本人のパイロットが日本の航空業界再発展のためには欠かせないということで、航空大学校が設立されたのです。
しかし!!航空大学校が設立されたのはいいが、肝心のパイロットは圧倒的に数が不足
ということで、白羽の矢が立ったのが、軍人パイロット!!
ちょうど自衛隊の前身が設立され、軍人パイロットが誕生してきた頃でイケイケのパイロットが沢山
この軍人パイロットたちが引き抜かれて、引きに引き抜かれて、そりゃ大盛り上がりだったそうです。
そりゃそうですよね。乗っていたんですもん。
そこで黙っていないのが、自衛隊
国防を担う軍人パイロットが大量に引き抜かれると、国の安全に直接影響することからどうにかできないかと悩んだ挙句に出した答え。
そう、それが「割愛制度」な訳です。
どんな制度かっていうと、「自衛隊から民間航空会社にパイロットをあげる」制度なわけです。
しかも国が斡旋して。
こんな制度が成り立つんですね!よっぽど困っていたんですね。
これを正式なものにするため、1966年
大蔵省、運輸省、防衛庁の3省事務次官覚書が取り交わされ、正式に割愛制度がスタートしました。
今でも財務省のホームページで確認できます。
↓ 財務省ホームページリンク

要約すると
「正式にパイロットあげるから、勝手に採用すんな」
ですね。
で、オイルショックとかの時になると、民間航空会社の経営がキツくなるわけです。
そしたら当然採用増やそうとしませんよね。
ということで、制度としてはあるものの、実質航空会社側から採用を控える形となったわけです。
大体、10年ぐらい機能停止状態になっていましたが、昭和60年代になると、民間航空会社の事業が徐々に拡大してくるのです。
これに伴って、割愛制度が再び機能するように。
大体この時、年間15~20名程度の自衛官が民間に転出しているそうです。
で、私のように自ら退職して、自ら就職活動を行なっていた元自衛官もたくさんいたとのこと。
なんで割愛制度があるのに、自分で厳しい道をいくんだと思われた方もいるかも知れませんが
それは、割愛制度が狭き門なわけです。
航空会社としても良い人材が欲しい。自衛隊としても変な奴を転出させるわけにはいかない。
ってな思いが交錯するのです。
これは今日現在も変わりませんね。
むしろもっっっと厳しくなってます。採用枠がほぼないんです。
話を戻すと、結構無秩序になってきていたので、また新しい覚書が出てきます。
「自衛隊操縦士の民間における活用について」って奴です。
これがまた厄介で、「離職後2年を経過していない元自衛官を採用してはならない。」、「割愛制度の対象年齢と同じ37歳以下の元自衛官を採用してはならない。」
職業選択の自由はどこに行った、、、、、、
まあ、国費で資格を取れるし、最初に言ったようにやめられたら困るのはわかるんですが、あんまりだ。
で、なんだかんだで、民主党政権が来ました。
そしてアホな政権が、公務員の再就職斡旋禁止を謡ったせいで、この割愛制度が停止するわけです。
国が仕事をあっせんするとは何事だ〜〜〜ってな感じで。
で、そのうちにまた政権交代がやってくるのです。自民党へ
時代的にもまたパイロットが不足しているということが叫ばれていたのも背中を押してくれましたね。
またまた新しい覚書「自衛隊操縦士の民間における活用について」が出てきます。


前回の覚書に出ていた「採用すんな」的なやつは書いていないですね。
そりゃ当たり魔えですよね。
この後にもう一とつ覚書があるのですが、ネットには上がってませんでした。
ちなみに、私の今の会社で入手したのですが、そこには
「元自衛官が応募してきた時には航空局に連絡してね。」、「割愛制度は40歳を対象とするよ」、「元自衛官が募集してきた時に、航空局に連絡せずに採用した場合はペナルティ(今後割愛制度を利用させないよ)与えるよ」って書いてます。
今巷で噂になっている、「離職後2年以内の縛り」は記載がなく、元自衛官の年齢制限も記載がないわけです。
じゃ、今実際どうなのってことなんですが
結論からいうと、「2年の縛り」は今日現在も存在します。
航空局が裏で手を引いてる感じです。
私が、今の会社(某航空会社)で仕事をしているときに、実際に運航部長の元に航空局から連絡がありました。2年が経過していない自衛官を採用していないかって。
要は、自衛隊から航空局にタレコミがあり、航空局から航空会社に指導があるわけです。
で、一部の航空会社は「40歳のしばり」もあると認識しているのです。
私の海幕の知り合いで、まさに割愛制度を担当している方に聞くと40歳の縛りはないとのこと。
ただ航空会社によっては40歳の縛りがあるという認識でいるところが私が知る限り2社あります。
航空会社もわざわざ航空局とかに確認はしないんですよね。
そこまで労力をかけるほど欲しい人材ではないってことですね笑
普通に航空大学校とか私立大学等々からのソースが主流ですしね。
私のような元自にとっては死活問題なのです。
早くこの縛りを解いてほしい。私は後半年で2年の縛りからは解放されますが。

割愛制度の最近の動向
気になりますよね。
空自・海自には割愛制度が存在します。
空自は今でも毎年割愛で数名程度民間に流出させています。
ですが、海自はゼロなんです。制度はありますが
なんでかっていうと、海自は上の人たちが潜水艦やら艦艇やらの人ばっかりで頭が硬い。
上がってきた希望は全て跳ね除ける。
そうこれが海自の現状です。
割愛制度を利用できると信じてやまない現役自衛隊パイロットの皆さん(海自)。
民間にいきたいんでしたら、すぐに退職してください。
絶対に海自では割愛制度は利用できません。
私の先輩で、割愛制度の希望を出したら転勤させられた不遇な先輩がいます。
海自全体として割愛制度=悪という風潮はありますね笑
ま仕方ないです。
皆が行けるならいきたいんですから。足を引っ張り合うに決まってます笑
その点、空自は頑張っていますね!!
でも戦闘機出身のパイロットは評判がめちゃくちゃ悪いです。
だって2マンコンセプトを知らないから笑
ある資料によると、アサーションを知らないっていう話もありましたね。
どうでも良いですが、↓後輩
航空学生を受験しようと思っている方はぜひ過去問をどうぞ!!

採用の現状
実績ベースとしてですが、自ら退職して私の後輩、先輩はたくさん航空会社に就職できています。
しかも40歳未満
ただし、2年は全航空会社守っていますね。
このことからも生きている縛りは2年だけってことですかね。
まあ、割愛制度を利用していない航空会社はペナルティなんてどうでも良いので40歳は無視しますよね。
あ、割愛制度を利用しているのは現在、ORCとピーチだけっぽいです。
てことで割愛制度に頼るのはやめた方が良いです。
結 論
いうまでもなく、民間にいきたいのでしたら退職一択だとおもいます。
採用枠もほぼないですし、何より上の一部の人しか利用できません。
別に退職する自衛官を増やしたいわけではありませんが、私のように民間で働きたいと思っている人のためにお伝えします。
国のお金で資格を取ったのだから最後まで職務を全うしろと言われそうですが、それはそうですね。
ただし、民間の航空会社においては最初にいったようにパイロットが間違いなく不足します。
ということは、一般の方の公共交通機関となる飛行機がパイロット不足により欠航してしまうのです。
そういう意味では国防という観点からではなく、民間に行くことでも十分に国民のためにもなると思います。
給料はちなみに2倍以上もらえますね笑

私は断然お金です。お金ありきです。
自衛隊は隊員の処遇を改善するべきです。
特にパイロットは民間の最低レベルでも良いので水準を合わせるべき。
出ないと流出は絶対に止まりませんよ。
どうか現役の皆様にとって良い環境になりますように!!
あ、これから自衛隊パイロットを目指す諸君はどうか道を間違えないように。
それではGood day!!
全く関係ないですが、さいきんこの本を読んでます。

これがバチくそに面白い!!
JALで不遇にあった恩地はじめさん。
海外転勤を何年もさせられますが、絶対に負けない強い気持ちでJAL本体と戦う姿。
たまの団体交渉がこれまた面白い!!自衛官には団体交渉権は与えられていませんので、団交って何っていうところからわかるのでよかったらぜひ。
そういえば、まもなく8月12日。
御巣鷹山の話もこの本に出てきます。
JAL123の機長は航空学生の大先輩。
簡単に口にするのはアレですが、一度慰霊に行ってみたいものです。


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